冷凍食品の取扱い
1. 冷凍食品の保存
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JIS規格でスリースターの冷凍室は−18℃以下と決められています。また、冷凍機能(急速冷凍)を備えているフォースターのものも同様に、−18℃以下と定められています。(通常の冷凍冷蔵庫はこのいずれかの規格です) いずれの規格も、実験の結果では、冷凍室内の冷凍食品は4ヶ月位は品質に変化がありませんでしたが、様々な冷凍室の使用状況を勘案し、安全を見て多少短めに考えると、購入時の品質が2〜3ヶ月間は保たれると考えてよいでしょう。 ただし、ドアポケットに保存した場合は、ドアの開閉の都度、冷凍食品が外気の温度の影響をそのまま受けますので、品質が保たれる期間は1〜2ヶ月間と短くなります。 一度開封したものを保存する場合は、包装袋の中の空気をしっかり抜き、口を堅く閉じて手早く冷凍室へ戻しましょう。 ジッパー付きの袋に入れて密封するのもよいでしょう。 |
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家庭の冷蔵庫の冷凍室ではドアの開閉等により、温度が上下しています。その際、食品に付着した微細な氷が昇華(氷から水にならずに直接、気体になる現象)し、パッケージ内の空気の体積が増加することで膨らむことがあります。この場合、品質には問題ありません。ただし、冷凍食品が解凍され腐敗している場合にも同様に袋が膨らむことがあります。この場合は利用を控えてください。 |
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冷凍食品の保存温度を変化させると、氷の結晶が成長して食品の組織を壊したり、乾燥して霜がつく、あるいは表面が酸化するなど品質を損ねてしまいます。特にいったん解凍すると、その時点で食品は冷凍食品ではなく「生もの」になります。解凍状態で長く放置されると腐敗することがあります。 また、家庭の冷蔵庫の冷凍室で再凍結した場合は、緩慢凍結(Q7をご参照ください)になり、食品の品質に悪影響を与えることがあります。 |
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包装を開封して、以下の状態であれば、品質が損なわれている可能性がありますので注意してください。
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多くの冷凍室は冷気循環式となっており、隙間なく詰めずに、ある程度冷気の通路を作ったほうが効率よく冷やせます。一方で、冷凍室の壁面から冷却される直冷式の場合は隙間なく詰めた方が効率的です。 ただし、ドアの開閉による冷凍室内の空気の入れ替わりを考えた場合は、隙間が少ない方が良いので、なるべく多くの氷や冷凍食品を入れて下さい。 |
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次の点に注意してください。
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2. 冷凍食品の表示
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「凍結前加熱の有無」は、食品衛生法によって加熱後摂取冷凍食品(Q2を参照ください)に表示することが定められている項目で、製造の過程で商品を凍結する直前に加熱したか、しないかを示すものです。 「加熱してありません」という表示は、文字通り「全く加熱処理をしていないもの」に加えて、「加熱処理をしていても、商品を凍結する直前には加熱していないもの」も指していますので、必ずしも製造の過程の中で一切加熱していないという意味ではありません。 |
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ブランチングは(Q18をご参照ください)野菜の持つ酵素の働きを止め、長期間品質を保つために行う前処理であって、加工調理上の完全加熱ではありませんので、『加熱してありません』と表示しています。 |
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ブランチングは(Q18をご参照ください)は完全加熱ではありません。そのため一括表示内に「加熱してある」という表示はできません。なお、商品によっては「予め軽く加熱してあります」などの説明をしているものもあります。 また、冷凍前に塩ゆでなどの完全加熱を行って、解凍後加熱せずそのまま食べることができる冷凍野菜(枝豆、そら豆、落花生など)もあります。その場合には表示欄に凍結前加熱の有無についての記載はありません。(無加熱摂取冷凍食品(Q2をご参照ください)) |
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3. 冷凍食品の解凍・調理の方法
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ほとんどの冷凍野菜は解凍(自然解凍)するとかえって品質が保てないので、凍ったまま加熱調理します。(ほうれん草などのブロック状に凍っており、そのままでは調理しづらいものは、次のQ46をご参照ください) 最近では、予め完全に加熱されているので自然解凍するだけで食べられる豆類などもあります。この場合は、包装の表示に「凍結前に加熱してあります」などと表示されています。 |
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水産冷凍食品は、調理前に“半解凍”にすることが重要です。半解凍のコツは、生食用、加熱用いずれの場合も、基本的にはドリップ(液汁)の流出を少なくするために、外側がやわらかくなっても中心部がまだ凍っている程度の状態にすることです。 主な解凍方法は、以下の通りです。
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それはドリップと呼ばれるもので、解凍した場合にマグロから出る液汁です。ドリップとは、凍結・解凍の際に破損した食品組織の水分や栄養分、うま味成分のことです。生ものを解凍する場合は、冷蔵室や氷水中などの低温でゆっくり解凍し、できるだけドリップが出ないように注意しましょう。 |
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+5℃以下の低温で解凍すれば細菌の繁殖を抑制することができます。しかし、解凍後は生ものですから長く保管しますと細菌の繁殖が進みます。解凍後は速やかに調理し、なるべく早めに食べましょう。 |
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ムキエビの場合は全体の10〜15%位のグレーズ(Q17をご参照ください)が付いており、解凍するとグレーズが解けて水になるので、その分だけ重量が減少します。なお、重量表示は、グレーズを除いた正味重量を表示することが計量法で決められています。 調理したら小さく固くなったのは、調理の加熱により収縮したものと考えられますが、これは冷凍食品のエビに限らず生のイカなどにも見られる現象です。 |
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ポリ袋に入れ、解凍したい部分だけに水をかけるか、水に漬け部分的にはがせる程度に解凍し、必要量だけをはがし取ります。残りは速やかに冷凍室へ入れます。 |
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凍ったままでも軽くたたくとはがれますし、それでも離れない場合は、表面が解ける程度の半解凍にしてはがして下さい。 |
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冷凍食品の種類、油の種類及びその量によって異なりますので一概にはいえませんが、フライ・コロッケなどパン粉の付いているものは、必ず凍ったままで揚げて下さい。その方が形崩れやパンクの心配もありませんし、衛生的にも安心です。解けかけた場合はパン粉で補強して揚げて下さい。 また、油については、次の点に注意して下さい。
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油の中にパン粉を落としてみて、油の深さの中程で浮き上がってくる状態の時が170〜180℃位で揚げ物の適温です。底まで沈むようでは温度が低過ぎますし、表面から沈まないようでは高過ぎます。 |
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揚げるものの種類によって吸収率に差がありますが、フリッター、フライは揚げる前の食品のほぼ10〜20%(揚げ油の吸油率-五訂食品成分表より)です。そのため、食材が吸収した油のカロリー分だけカロリーアップになります。 |
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冷凍食品に霜が付いている状態は好ましいことではありませんが、もしうすく霜が付いている場合は、軽くたたいて霜を良く落として調理してください。そのままでは油がはねて危険です。 |
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家庭の場合、油は5〜6回使っても酸化の心配はなく、使った後、こして冷えてから油の保存容器に入れフタをして冷所で保存します。さし油はさしつかえありませんが、加熱使用後は早めに使い切るようにしましょう。 |
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冷凍食品を揚げるからではなく、水分の多いものを揚げると加水分解等の変化を受けて油が分解し、油の傷みが早くなります。霜がついている場合はなおさらです。 また、揚げた後、揚げかすを丹念に取り除かないと黒くなりますし、クリームコロッケがパンクし中身が溶出したりすると、油の傷みがひどく、場合によっては使えなくなることもあります。 |
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次の点に注意しましょう。
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電子レンジの「あたため」などのオート調理では、適切な出力や調理時間にならないことがあり、加熱ムラが起きやすくなります。また、機種によってはオーブン機能を併用することもありますので、思わぬ事故につながることがあります。オート機能ではなく、パッケージ記載の出力や調理時間に手動で切り替えて加熱調理してください。 |
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電子レンジの取扱説明書をご覧の上、冷凍食品のパッケージに記載されている方法で調理して下さい。 |
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自然解凍や水中解凍可能な商品にはその旨の記載があります。それ以外の商品も、必ずパッケージの表記に従って加熱調理してください。 |
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4. ホームフリージング
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家庭用冷蔵庫の冷凍室で食品を凍結・保管することを、ホームフリージングといいます。 冷凍室内の温度は通常-18℃程度で、購入した冷凍食品を保存するには適していますが、食品を凍結するには不十分で、緩慢凍結(Q7をご参照ください)になり、食品の細胞・組織が壊れ、解凍したときに元の品質に戻らなくなってしまうこともあります。なお、最近はホームフリージング用に-40℃程度の冷気で急速凍結(Q7をご参照ください)する機能付きの冷凍庫も普及してきましたので、このタイプの機種を使えば上記の欠点も緩和されます。 一般的には、ホームフリージングに向く食品と向かない食品があります。
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次の点に注意しましょう。
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